企業研究で一番信頼できる資料は、企業の採用サイトでも口コミサイトでもなく、有価証券報告書(有報)です。上場企業が法律で提出を義務づけられている書類なので、盛った数字を載せることができません。
この記事では、就活生が最低限見るべき3か所と、その数字の読み方を、自分の志望企業である霞ヶ関キャピタルを例にまとめます。
有価証券報告書はどこで見られるか
- EDINET(金融庁の開示システム)で企業名を検索する
- 企業の公式サイトの「IR」ページにも同じものが載っている
上場企業なら誰でも無料で読めます。PDFで100ページ以上あるので、全部読む必要はありません。最初は次の3か所だけで十分です。
見るべき3か所
1. 「従業員の状況」
会社の規模と働き方が数字で分かる箇所です。載っているのは主に次の4つ。
- 従業員数
- 平均年齢
- 平均勤続年数
- 平均年間給与
就活サイトの「年収」欄より、ここの平均年間給与のほうが信頼できます。ただし読み方に注意点があるので、後で説明します。
2. 「事業の内容」
会社が何で稼いでいるかが書かれています。「不動産」と一言で言っても、開発して売るのか、持ち続けて賃料を得るのか、他人の資産を運用するのかで、まったく別のビジネスです。ここを読まずに志望動機を書くと、面接で必ずずれます。
3. 「事業等のリスク」
会社が自分で「うちの弱点はここです」と書いている箇所です。金利上昇、特定の事業への依存、人材の確保など、その会社の構造的な弱点が正直に書かれています。志望動機で「御社の強み」を語る人は多いですが、リスクを理解している学生は少ないので、ここを読んでおくだけで差がつきます。
実際に読んでみる:霞ヶ関キャピタルの場合
2025年8月期の有価証券報告書から、「従業員の状況」の数字を拾うとこうなります(EDINETの有価証券報告書 第14期で確認済み)。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 従業員数 | 349名(2025年8月末) |
| 平均年齢 | 37.5歳 |
| 平均勤続年数 | 2.2年 |
| 平均年間給与 | 1,683万円 |
この4つを並べて、自分なりに考えたことを書きます。
平均年収1,683万円は「全従業員の平均」です。新卒1年目の給与ではありません。年収の高い中途採用者が多ければ平均は上がるし、新卒が少なければなおさらです。新卒でいくらもらえるかは、採用ページやプレスリリースの「初任給」を見る必要があります。この会社の場合、2027年4月入社の一部ポジションで初年度年収1,400万円を公表しているので、それは別枠として読むべき数字です。
平均勤続年数2.2年は、短いです。一般的な大手企業では10年を超えることも珍しくありません。ただし、これが「すぐ辞める会社」を意味するとは限りません。急成長中で従業員数が毎年大きく増えている会社では、入社したばかりの人が多いので、平均勤続年数は自動的に短くなります。「短い=ブラック」と決めつける前に、従業員数の推移(過去数年分の有報を並べれば分かります)を確認する必要があります。ここは次の記事で調べます。
平均年齢37.5歳は、新卒中心の会社よりは高く、中途採用が主力であることを示唆しています。新卒で入る場合、周りは経験者ばかりという環境になる可能性が高い。これは自分にとって良いことか悪いことか、まだ判断できていません。
数字を読むときの注意
- 平均年間給与には賞与や基準外賃金を含む場合が多く、会社によって計算の前提が違います。他社と比べるときは同じ注記を確認する
- 平均勤続年数は「勤続年数の平均」であって、「みんなが2.2年で辞める」という意味ではない
- 従業員数には契約社員や派遣社員が含まれないことがある。注記に書いてある
- 有報は年に1回。直近の四半期報告書や決算短信のほうが新しい数字が載っていることがある
就活での使い方
- 志望企業の有報を開き、「従業員の状況」の4つの数字をメモする
- 「事業の内容」を読んで、その会社の収益の仕組みを自分の言葉で3行にまとめる
- 「事業等のリスク」から1つ選んで、「このリスクに対して自分は何ができるか」を考える
この3つをやると、志望動機の中身が採用サイトの言葉ではなく自分の言葉になります。自分もこれから志望企業ごとにやっていき、その結果はこのサイトに載せていきます。
※この記事の数字は、公開されている有価証券報告書に基づいて運営者が読み取ったものです。最新の数字は必ず原本で確認してください。運営者は掲載企業とは関係ありません。
「就活生のための有価証券報告書の読み方|「平均年収1,683万円・平均勤続2.2年」をどう読むか」への2件のフィードバック