霞ヶ関キャピタルの従業員数の推移から平均勤続2.2年を読み解く


前回の記事「有価証券報告書の読み方」で説明した通り、「平均勤続年数が短い=ブラック企業」と短絡的に読むのは危険です。ここでは、実際に霞ヶ関キャピタルの有価証券報告書に載っている数字を使って、その読み方を実践します。

このページの数値は、EDINETに掲載されている霞ヶ関キャピタル株式会社の有価証券報告書(第14期/2024年9月1日〜2025年8月31日)の「5【従業員の状況】」から直接確認したものです。

基本データ(2025年8月期・第14期の有価証券報告書ベースとされる数値)

  • 従業員数(連結):727名(臨時従業員146名)
  • 従業員数(提出会社・単体):349名(臨時従業員13名)
  • 平均年齢:37.5歳(提出会社)
  • 平均勤続年数:2.2年(提出会社)
  • 平均年間給与:16,832千円=約1,683万円(提出会社・賞与および基準外賃金を含む)
  • 業種:不動産業(不動産コンサルティング事業の単一セグメント)

ここで重要なのは、連結と単体で従業員数がまったく違うという点です。グループ全体(連結)では727名、霞ヶ関キャピタル株式会社そのもの(提出会社)では349名。同じ会社の「従業員数」でも、どちらを見るかで倍以上の差があります。そして平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与が載っているのは、提出会社の表だけです。就活サイトなどで見かける従業員数がどちらを指しているのか、確認しないまま他社と比較しても意味がありません。02の記事で説明した「単体か連結かで数字の意味が変わる」が、そのまま当てはまる例です。

従業員数はどう推移してきたか

有価証券報告書の注記に、増加数がはっきり書かれています。連結では1年間で291名増加しており、理由は「連結子会社数の増加や業務拡大に伴う採用」。提出会社では1年間で93名増加し、理由は「業務拡大に伴う採用」とされています。単体で349名のうち93名が1年以内の入社ということは、社員の4人に1人以上が入社1年未満という計算になります。

急拡大期の会社は、中途採用を積極的に行うのが普通です。中途入社の社員が増えれば、その人たちの「勤続年数」はゼロからカウントが始まるので、会社全体の「平均勤続年数」は自動的に短くなります。これは離職率が高いことと同じ意味ではありません。

平均勤続年数2.2年をどう読むか

不動産業界全体の平均勤続年数はおよそ7年前後と言われています。それと比べると2.2年は短く見えますが、有価証券報告書はこの数字が短い理由を説明していません。以下のような複数の可能性があり、公開情報だけでは切り分けられないという前提で読む必要があります。

  • 採用を積極的に増やしている(中途採用が多い)
  • 離職が実際に多い
  • そもそも上場・設立からの年数が浅く、社歴の長い社員がまだいない

給与の推移とセットで見る

平均年間給与は16,832千円、約1,683万円です。注記には「平均年間給与は、賞与及び基準外賃金等を含んでおります」とあります。固定給だけの数字ではないので、他社と比べるときは同じ注記があるかを確認する必要があります。

数字の次にやること

有価証券報告書の数字だけで「良い会社か悪い会社か」を判断するのは限界があります。ここまで読み解いた上でやるべきなのは、面接やOB訪問で聞く質問リストを作ることです。

  • 直近数年の新卒入社者の定着率(3年後在籍率など)
  • 中途採用の比率とポジション
  • 平均勤続年数が短い理由を、会社側はどう説明しているか

まとめ

平均勤続年数2.2年という数字は、それ単体では「良い」「悪い」の判断材料になりません。急拡大している会社かどうか、給与が上がっているかどうかとセットで見て、面接で確認すべき質問に変換するところまでやって、初めて企業研究に使える情報になります。


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